ぬこ/イチカロッカ 作品紹介
「寝待月」
三日月 十六夜いざよい 弓貼ゆみはり 霧霞きりがすむ
移ろう姿は 不確かで 不実なんて
触れた先にある 輪郭を確かめて
ねぇ ほら 見えた 君も わかるでしょう?
ほの暗く 船跡ふなあと染めて
薄明かり 眩まばゆく飾る
追いかけ 追いかけられて
あぁ ただ 雲歩く
行く先が わからないの?
怖いなら ほら手を貸してあげる
先を照らして 何かを見つけて
わからなくても 手の中にあるでしょう
馬鹿 もう 馬鹿
気づいたら そっと 閉まってよ
落とさないように 胸の奥 鍵かけて
言の葉 ひとふわり 舞い降りて
水面みなもに 広がる
追いかけ 壊さないように
あぁ そっと 抱き寄せる
現世うつしよ 細波さざなみ揺れて
遠くに 近くに どこに
漕ぎ出して 行く先は 「 ・・・。」
あぁ 宿る言霊